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2011/07/15

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佐野末四郎さんインタビュー |世界をあっと言わせることができると思ったからです。

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「小学校からすでに職人船から自転車への軌跡」

―まずは、佐野さんの経歴を聞かせてください。

佐野:私は江戸時代からずっと続いてきた船大工の家系の9代目です。初代、2代は千葉におりましたが3代以降は東京へ。私も生粋の江戸っ子です。


―佐野さんは小学生の頃から、本格的な木造船を造っていらしたそうですね。

佐野:小学校6年のときにはそこらの職人より腕がいいと言われていました。


―小学生で船を造るなんて、船大工の家系といえどもさすがに驚かされますね。

佐野:いや、こんなもんです。
職人ってのは、本来、12、3歳で丁稚に出て、16、7歳で一人前になってなきゃならない。祖父によく言われました。「16、7歳でいっぱしになってないと、将来、本物の職人にはなれないよ」って。
私は祖父の影響を強く受けていましたから、いっぱしになってやろうとがんばりましたよ。中学、高校と、学校から帰って船のことを学び、学業も怠らず、常にトップの成績をとり続けました。


―職人の技術を修得されただけでなく、普段の勉強もトップとは・・・。

佐野:技術だけでは職人にはなれませんから。船を造ろうと思ったら、数学、物理学、力学は特にしっかり勉強して、船を一から造るということをきちんと論理立てて考えられるようにならなくてはいけないんです。
頭も鍛える必要があります。


―なるほど、その才能と努力で船大工として世界的な評価を受ける佐野さんですが、どうして自転車を造ろうと考えたのでしょうか。

佐野:世界をあっと言わせることができると思ったからです。
自転車はカーボンファイバーなど固い素材を使ったほうが速く走ると考えられています。でも、僕がいままで学んだり、木造船造りでの経験したりしたことに照らし合わせると、どう考えても木で造った方が速いんです。実際、カーボンより軽いマホガニーの船を造った経験がありましたし。
船でできたのなら、自転車でもできるはずです。それで造ろうと思ったんですよ。


―なぜ木製の方が速いのでしょう?

佐野:跳び箱で考えてください。
跳び箱は踏み板を踏んで蹴る力を増幅させて飛びますよね。それと同じで、フレームでもホイールでも柔らかい素材に負荷をかければ反発があるわけです。
反発して人間の力をアシストしてくれるんですね。鉄のように固い素材はアシストしてくれません。木は道具としてきちんと働かせることができる素材なんです。


―なるほど。具体的には、木造船造りの技術は木製自転車造りのどのあたりに活かされているのですか?

佐野:たとえば木造船の操舵輪と木製自転車のホイールは同じ技術で造っています。


―木造自転車は、2008年春に試作機が完成しましたよね。現在は10台目を制作中とのことですが、どのような進化がありましたか?

佐野:試作機は10キロ近い重量がありましたが、最新モデルは7キロ台です。スピードもぐんぐん出るようになってきました。


―それは軽いですね! これからのさらなる進化に期待しています。今後も、やはり木造にこだわられるのですか?

佐野:もちろんです。木だといいものが造れるからです。私たちは代々200年以上、そうやってやってきたし、そう信じています。200年の歴史の中で、多くの船大工がより儲けの大きな鉄の船などへ方針を切り換えていきましたが、うちは木造にこだわった。“木の扱いなら誰にも負けない”、“いいものを造るために妥協しない”、そういった物造りへの姿勢から、いいものは生まれるんです。


―キャットアイの製品も使っていただいているのですね。

佐野:ええ。サイクルコンピュータやヘッドライトを使っています。


―使い心地はいかがですか?

佐野:いいですよ。シンプルだけど必要なものは揃っていて。製品として完成されているから、さらに改良してほしいという要望もありません(笑)。


―それでは最後に、木造自転車造りにおける今後の目標をお聞かせください。

佐野:カーボンの自転車より速いものを造ろうと思っていたのですが、もう勝てることがわかってしまいました。今後はちょっと方針を変えて小径車でも創ってみようかと思っています。



プロフィール→
1958年生まれ。東京都出身。江戸時代から200年以上続く造船所に生まれる。15歳のときに造った外用ヨットがアメリカの木造船専門誌で取り上げられ、注目を集める。工学院大学造船科を卒業し、外洋ヨットやカヌーなどを製作する。2007年からは木造自転車造りにも着手。じょうぶで速く、そして快適な木造自転車は、ヨーロッパをはじめ世界中で高い評価を受ける。
詳細は・・・・http://sanomagic.world.coocan.jp/